葡萄の房の巻き毛のパリス

世界一の美貌を持て余すヘレネ(ヘレン)

スパルタの王女として生まれたヘレネは
メネラオスと結婚してスパルタ王妃となり
夫メネラオスはスパルタ国王となった

この2人の娘のヘルミオネが9歳になった頃は
結婚して10年は経過してたはずなので
間違いなく倦怠期にあったろう・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

そこにトロイの王子パリスがやって来た

葡萄の房の巻き毛(なんて甘美な形容!)に
縁取られた美貌の顔(かんばせ)は
ヘレネの目にはどれほど眩しく映ったコトか?!

ましてや運良く(?)メネラオスが出かけてしまったため
客人をもてなす役目を仰せつかったヘレネは
夫に邪魔(?)されずにパリスを歓待できたのだった

取っ掛かりは出来心にしても
出来過ぎのシチュエーションは
恋心を触発し合うに違いなく・・・

いや、絶世の美女が美青年と恋に落ちるのに
どんな理由が必要だと言うのだ?

ブラピがアキレウスをやった映画『トロイ』では
一応、ヘレネは既にメネラオスと結婚してはいるものの
9歳の娘がいるほど長くはなさそうで
実際、ヘルミオネは存在せず
ヘレネのパリスとの不倫は
まるで純愛の様相を呈してるのが
気持ち悪いレベルだ(゚*゚;)

定説ではヘレネは美女だが(だからこそ?)悪女で
純朴なパリスを誘惑して不貞をして
挙句にかけおちした際には
幼い娘を置き去りにしてる毒母でもあるのだがね

しかもそれが元で大戦争になって死者累々でも
ヘレネ自身はちゃっかり助かって
何事も無かったかのように
メネラオスとヨリを戻すのだよヽ(゚∀。)ノ

そんなんでもヘレネが一切お咎め無しなのは
世間が美女には甘いからだ(;つД`)

そして片やパリスにも正妻こそいなかったが
実はオイノーネなる女がいた?!

まあこの時代の妙齢の王子ならば
既に妻がいて然るべきで
むしろあちこちに王家の子供を作らぬようにと
とりあえずの女があてがわれたりもするだろうて

当時のギリシアは一夫一婦制だが
トロイでは身分の高い女を1人正妻にしてれば
他に何人の愛妾を持とうが構わなくて
゚+.(・∀・)゚+.゚イイ手本が父王のプリアモスだった

アポロドーロスの『ギリシア神話』には
プリアモスの子の名前一覧があるが
なんと全部で55人で
もちろん一人の妻が産むのは物理的に無理だが
いや、何人の妻がいたとしても達成困難だ・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

ところでパリスの女オイノーネは
予言の能力を持ち、薬の知識にも明るいので
人間でなく妖精だったとする説もあるが
とにかくパリスがまだ王子ではなく
イデ山で羊飼いだった頃から見知ってた女だった

オイノーネもイデ山で暮らしてたので
パリスとは幼なじみだったりするかもしれず
そうなるとパリスとオイノーネは
まるで『アルプスの少女ハイジ』のようだな^^

ハイジがフランクフルトに連れて行かれ
お屋敷での生活に馴染めず
ホームシックになってしまったように
オイノーネも王宮では暮らせなかったのか
王子になったパリスとは別れてイデ山に残った・・・らすぃ

この辺りの詳しい事情がどこにもなくて
状況から推察するしかナイが
羊飼いだったパリスの世界はイデ山だけで
イデ山には羊とオイノーネしかおらず
パリスは必然的に羊とオイノーネを愛してただろう

もちろんオイノーネの方も
羊とパリスを愛するより他なかっただろうし
そこで突然パリスが王子に戻ろうが
2人の愛は変わりようもなかったはずだ

ところがパリスにとっては
肉親の元へ帰れたのが嬉しかったろうし
家族の期待に応えて
王子としての教育を素直に受けて
立派な王子となっていったので
そんなパリスに対してオイノーネは
引け目を感じるようになったかもしれぬ

そこへきてスパルタからトロイに
ヘレネを連れて戻り
元羊飼いの王子パリスは
いつのまにか戦場に引き出され
なんとか逃げ延びるも
頼りのヘクトルも亡くなり
致命傷を負ってみれば
最期はイデ山のオイノーネの元へ・・・

松田治の『トロイア戦争全史』によれば
瀕死のパリスはオイノーネに
なんとか助けてくれるよう懇願するも
オイノーネは救う手立てをなんらとらず
そのまま見殺しにして
自身も自害した

しかもパリスの遺骸を燃やしてる炎への
投身自殺だ。(゚д゚lll)ギャボ

この件について
オイノーネはパリスに捨てられたのを
恨んでいたから助けなかったとか
バカバカしい理由を持ち出す恋愛音痴もいるが
じゃあなぜ自殺したんだ?
オイノーネが死ぬ必要はなかったのだ。(´д`;)ギャボ

やっと帰還した愛しいパリスに
2度と再び他の女の元に行って欲しくなかったので
オイノーネはパリスと同じ炎に包まれながら
今度こそ引き留めておこうとしたのだp(-_-+)q

ちなみに松田治が『トロイア戦争全史』にまとめてるが
パリスとオイノーネについて参照してるのは
クイントゥスの『トロイア戦記』であろう