映画『検察官閣下』

The Inspector General (1949)

名作文学を映画で楽しむDVD10枚セットの
「そして誰もいなくなった」を2021年2月に購入

購入目的はオスカー・ワイルドの
『ドリアン・グレイの肖像』だったのだが
他作品がどれも興味深く思えたのは
やはり馴染みがあるタイトルばかりだからだろう

中でも『検察官閣下』は
ゴーゴリの原作が小説でなく戯曲なだけに
シェイクスピア劇のように
そっくりそのままを演じてるのかどうか気になって
『ドリアン~』の次に観てみたのだが
結論から言えば全然違った^^;

原作を蔑ろにした作りの映画は
9割方が気に入らなかったりするのだが
それは原作者が何かを訴えたくて表現してるのに
そこを全く汲み取らずに
好き勝手に変えられて演じられると
著者に対してのリスペクトが感じられず
まるで剽窃のように思えてしまうからだな><

しかしこの『検察官閣下』は
好き勝手に変えて演じてるのだが
ゴーゴリの意図するトコロをちゃんと汲み取ってて
それを120%表現しきれてると感動できた^^

それは主役を演じたのが
才気溢れるダニー・ケイだったからだろう!

いや、自分もその名前しか知らなかったのだが
それも谷啓がその芸名にするのに
ダニー・ケイをもじったらすぃってレベルw

そっか
トロンボーン奏者同士なのか?!

あらすじとしては
行政の汚職が凄まじい町(ロシアの片田舎)に
検察官が視察にやってくると知って
町長を始め、慈恵院主事、学校監察、判事、郵便局長やらが
常日頃の体たらくや賄賂や横領などがバレたら
絞首刑になってしまうと大わらわ!
挙句の果てに余所者を検察官だと勘違いして
歓待しては賄賂で誑し込もうとするのだが
実は検察官なんかではなかった!!

そんな単純明快な物語なのだが
町のお歴々も偽検察官もお互いに騙し合ってて
ドリフのコントになりそうな軽妙なやりとりが面白い

最終的に原作では偽物と気付くのは
検察官のフリをして大金をだまし取った男が去った後だが
映画では最後に本物の検察官が現れて
正直者で悪事の片棒を担ぐのには向かぬ男が
町長に任命されて大団円

新訳では検察官でなく査察官なのだった

ちなみに自分が所有してるのは
筑摩世界文学大系【80】ゴーゴリ
野崎韶夫(よしお)訳なのだが
訳注に「タイトルは検事と混同し易いので
監察官とするべきだろうが慣習的に検察官とした」とあり
また登場人物名についても各々が
どういう意味のある名前なのか解説されてた

読み比べるために購入した北垣信行訳は
そこまでの訳注は無かったが
巻末の解説の充実度は素晴らしかったし
読み終わるのに数日かかったw
なんせ全体で314ページの内273ページまでが本文で
残る41ページが解説なのだからwww

それにしてもダニー・ケイが
歌も踊りも顔芸も上手くて愉快痛快なのだが
エンターテインメントってこれだと
改めて感じ入る映画だった

彼の芸風に合わせて脚本を変えたのだろうが
設定から大胆に変わってても
ちゃんと辻褄は合ってて
ゴーゴリが風刺したロシアの行政の常態化した腐敗は
この映画でもしっかり描かれてた

アマゾンPrime Videoにもあった♪
リビングで家族で観るのにぱ+.(・∀・)゚+.゚イイ

小説1 名作文学を映画で楽しむ そして誰もいなくなった