映画『テス』と読書感想文『ダーバヴィル家のテス』

ヒロインが理想的な男性に見初められて
途中、紆余曲折あるも
ハッピーエンドヽ(゚∀。)ノ

ハーレクイン・ロマンスとか
ハリウッド映画なんかにもありがちな
男女の恋愛だけが主題の安易な展開の物語には
既に小学生の頃から辟易してたので
悲劇的な結末と知って
ハーディの『ダーバヴィル家のテス』を読んだのは・・・

高校生の時

☆・・・☆・・・☆

感動が人生を形成してきた

芸術であったり
科学であったり
哲学であったり

自然主義文学はつまらナイ

恋人と添い遂げて幸せか
思いを遂げられなくて不幸か
それしか選択肢のナイ人生

ハーレクイン・ロマンスは
ロマンスと謳ってるけど
根本は自然主義文学なのかもな?

ハーディのTess of the d’Urbervillesを読んで

☆・・・☆・・・☆

このたった12行の感想は
学生時代のルーズリーフ片から拾ったモノだが
読書感想文の最短記録であるるる~

今にして思えば
この時は物語の背景にある処女信奉が
どうにもかったるく感じて
途中からはもう悲喜劇にしか思えなかったし
極めつけの処女信奉者のエンジェルが
とにかくウザかったしキモかった(゚*゚;)

ところが2007年の晩秋に再読して
ナスターシャ・キンスキー主演の映画も観た後では
テスの方が病的な処女信奉者で
狷介固陋(けんかいころう)で身勝手な女で
同情の余地はナイと思った

頑迷固陋(がんめいころう)でなく
狷介固陋なのだ

頑迷固陋
頑固で視野が狭く、道理をわきまえないさま。また、自分の考えに固執して柔軟でなく、正しい判断ができないさま。頭が古くかたくななさま。▽「頑迷」はかたくなで道理に暗いこと。「固陋」はかたくなで見識が狭いこと。また、頑固で古いものに固執すること。「迷」は「冥」と書くこともある。
狷介固陋
かたくなに自分の意志を守って、人のことを受け入れないさま。また、かたくなで頑固なさま。▽「狷介」は自分を固く守って妥協しないさま。「固陋」は自分の狭い視野にとらわれてかたくななさま。

テスの場合
道理を弁え過ぎてるのが問題だった

テスが最初から
アレックの愛人に収まってれば
万事上手く行ったはず・・・(;つД`)

男を見る目がナイばっかりに
゚+.(・∀・)゚+.゚イイ男(アレック)を蹴って
バカな男(エンジェル)に愛を捧げて
総てを曝け出して、赦しを乞うてみたら
挙句、捨て置かれたなんて・・・バタリ ゙〓■●゙

ましてや
テスに処女信奉を振り翳しておいて
エンジェル自身は童貞ではなく
憤懣やるかたなかったp(-_-+)q

それにしたって
テスがつくづく狷介固陋だと思うのは
己の立場をわかっておらず
破滅的な行動に走ってしまう部分だ

テスは自身の家族を養うために
アレックの愛人になってて
エンジェルに顧みられなかった間
テスもテスの家族の生活も
アレックに任せっきりだったのに
なぜエンジェルについて行きたい衝動のままに
アレックを刺せるのかがわからナイ?

自分がテスなら
裏切ったエンジェルなんかより
実質的に養ってくれてるアレックに恩義を感じて
身を引くのが当然だと思うけど・・・

なぜ激情にかられてアレックを刺してまで
エンジェルなんかを追うんだろう???

あ、でも、そうか?!

それでアレックの愛人に収まってから
2人の間に真実の愛が芽生えて
可愛い子供が生まれて大団円とか
最終的にはアレックの本妻として認められて
シンデレラ・ストーリー的なハッピーエンドとか
そんなだったら再読ドコロか
最初から読んでなかったと思われw

そして再読した2007年の
読書感想文(てか、メモ書き)が以下

☆・・・☆・・・☆

2度目の『テス』筑摩世界文学大系版

白雪をちりばめた紅ばらという、エリザベス朝の古めかしいたとえを、これほどしつこく、くり返し思い出させる女性の唇と歯を、いままで彼はついぞ知らなかった。彼は恋人としてだったら、それらを即座に完璧な口もとだと呼んだかもしれない。しかし、いや――それらは完璧ではなかった。一目みて完璧と見まごう画面に、一刷毛の描き残し、または不完全さが残っていてこそ、甘美な魅力は生まれるのだ、――不完全さ、それは人間性を発揮する要素だからである。
自然が望む美はシンメトリーなのだが
人間が憐憫の情を抱くのはアシンメトリーで
完璧にほど近い美の中の
僅かに不完全な愛くるしさなのだ

そんなテスの唇を見つめる時
恋人のエンジェルは
全神経を貫く薫風が吹き起こり
めまいがするそうで
この薫風はギリシア語で「アウラ」
大沢衛の訳は【開花発気】だ
なんて瑞々しい表現だろう・・・ホゥ(*-∀-)

Snow-White and Rose-Red

この表現がエリザベス朝の文学で
散見されるのだろうか?

エリザベス1世の治世は1558年~1603年(44年!)で
この時代の文学と言えば
演劇が持て囃されてたのでほぼ戯曲で
シェイクスピアやマーロウか?

☆・・・☆・・・☆

更にナスターシャ・キンスキー版のDVDを
視聴した際のメモが以下・・・

☆・・・☆・・・☆

ロマン・ポランスキーによって
映画化された『テス』では
小説で想像してたよりも幾分明るいイメージの
ナスターシャ・キンスキーが
ハーディの美的表現通りのテスを演じてたが
当時17歳のキンスキーは
この時ポランスキと深い仲だったそうで
だからこその出来の良さなのかもしれナイが
そこにどうにも苦々しさを感じてしまうのが残念だ

映画『テス』はポランスキーの
亡き妻シャロン・テイトに捧げられたが
それは彼女こそが夫に映画化を勧めてたからなのだ
チャールズ・マンソンの狂気の犠牲となる前に・・・

☆・・・☆・・・☆

シャロン・テート・・・美しい方でした

チャールズ・マンソン率いる「ファミリー」が
身重のシャロン・テートを惨殺したのは1969年で
死刑宣告を受けてたマンソンだったが
その後、終身刑となって服役中だったはず・・・
(Wikipediaによればマンソンは昨年末に獄死した)

小説1 テス