映画『Dorian Gray(2009)』

オスカー・ワイルドが原作の
『ドリアン・グレイの肖像』の映画は
長い間、自分はどれも未見だった

せめてヘルムート・バーガーの
『The Secret of Dorian Gray』だけは
冥土の土産になんとしても観たいと
折を見ては[Dorian Gray movie]でググって
ソフトを探し続けてた

それがある時・・・2009年11月19日のコトだったが
[Dorian Gray(2009)]の項目が
トップに出てきて「2009」の数字に驚いた!

Dorian Gray(2009)

早速ページを開いてみると
ブルネットのドリアン・グレイに更に驚愕!!

ドリアンがブロンドでなくてど~するp(-_-+)q

しかしあえてブルネットの男を
ドリアンに仕立てたからには
どれほどその役者がドリアンをこなすのか
興味も湧いた

まあ確かに後から冷静になって考えてみれば
純朴な美青年ドリアンが
如何にして悪徳に染まっていくのかが主題なので
誰もが納得するような美貌の持ち主でなくてはならぬが
その真価は髪の色に左右されるモノでもなく・・・

ドリアンは金髪でなくてはいかんp(-_-+)q

そう思い込んでたのは
ヘルムート・バーガーの印象が強烈だったからだが
実際、バーガー版を観てなかった・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

その後、ブルネットのドリアンが
ベン・バーンズなる俳優で
ナルニア国のカスピアン王子も演ってて
そこそこ人気もあると知って
『Dorian Gray(2009)』の日本公開を祈願してたが
祈り虚しく、未公開に終わった(-人-;)ナムアーメン

それがここへきて
『Dorian Gray(2009)』のDVDが日本で発売されて
これに合わせてなのか
バーガー版のも新たにDVD化されて
ついでに(?)ハード・ハットフィールド版DVDまで
もうドリアンDVD祭りのような異例の事態で
自分はとりあえずバーンズ版とバーガー版を購入

早速、観比べてみたが・・・

バーガー版は設定が現代になってるせいもあり
全体的に軽佻浮薄な印象が否めなくて
バーガーのデカダンの香り漂う容貌では
世慣れしてるように見えてしまい
当初は朴訥なはずのドリアンにしては
セクシー過ぎる嫌いもあり
最初から最期まで原作との違和感を拭いきれなかった

ドリアンは自ら好んで快楽を貪ってるのではなく
悪徳の指南役であるヘンリー卿に
そそのかされるままに享受しながら
陥れられてるのを愉しんでるのだと思われ

堕落してしまってる自身に酔いたいのだ。(´д`;)ギャボ

そんな破滅願望こそが
ワイルドの表現したかったデカダンシズムで
全く健全だった人間がそこに嵌ってく過程を描いてるので
読み手は一緒に引き込まれて戦慄を覚えるのだし
映画化されても観る者が息を呑んで追うのは
その部分なはず・・・

だからバーガーがのっけから
人を食ったような顔で登場してしまっては
皆、いきなりドン引きで構えてしまって
ドリアンが堕ちてく過程を愉しめず

バーガーがしたり顔で快楽を貪りながら
それ自体を楽しんでる感がありありで
しかもまるで罪悪感がナイように見えてしまうと
皮肉屋のヘンリー郷は登場する意味がなかろうて。(゚д゚lll)ギャボ

自分はバーガーのファンだが
原作を重視してるので
どうにもバーガー版はいただけナイ

但し、バーガーの
そして『ドリアン・グレイの肖像』の
コレクターとしては買って損はなかったし
むしろお得だった♪

しかし★をつけて評価するなら
バーガー版は★★★だ
これはバーガーファンなので
どうしても贔屓目に見てしまうのと
その稀に見る美しさに「免じて」なので
本来なら★★
はっきり言って駄作だ・・・バタリ ゙〓■●゙

映画としての完成度の高さも
原作への忠実度(監督の原作の理解度)も
バーンズ版の方が圧倒的に上回ってたが
1点、だが総てをダメにしてたのは
ラスト近くのホラー入り過ぎな部分だ

あとちょっとで終わりってトコロまで
耽美な世界観を押し出してたのに
なんでいきなりB級ホラー?!
まあでもそれを差し引いたとしても
★で評価するなら★★★★★だ

衣装、家具・調度、美術品はもちろん
何気ナイ小道具まで細部の作りが行き届いてて
基本的に美的である以上に
登場人物の趣味が反映されてて隙がなく
それは要するにワイルドの設定に沿ってるってコトだ

特にヘンリー卿にコリン・ファースってのは
最初はミス・キャストだと思ってたのだ
ぶっちゃけ、ダサイ・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

ところが観てる内に
なるほどヘンリー卿だと納得したのは
よく考えたら女にモテるようなルックスでは
いちいち女に甘やかされてしまうので
あそこまで世の中を拗ねて見れるほどにはならナイワケで・・・

そもそも原作においても最も魅力的な人物は
素直で美貌のドリアンではなく
美意識の高い皮肉屋のヘンリー卿なのだからして(^^

小説1 ドリアン・グレイ / ドリアン・グレイ 美しき肖像