神話、伝説

七つの愛の物語「イシスとオシリス」から「トリスタンとイゾルデ」まで

はじめに
イシスとオシリス〔ダイアン・ウォークスタイン / 丹羽隆子訳 / 川口昌男訳〕
百万年の太陽の船
イナンナとドゥムジ〔ダイアン・ウォークスタイン / 丹羽隆子訳 / 川口昌男訳〕
聖なる結婚
シヴァとサティー〔ダイアン・ウォークスタイン / 丹羽隆子訳 / 川口昌男訳〕
宇宙の永遠の舞踏
雅歌〔ダイアン・ウォークスタイン / 丹羽隆子訳 / 川口昌男訳〕
私を連れていってください、さあ急いで!
プシュケーとエロース〔ダイアン・ウォークスタイン / 丹羽隆子訳 / 川口昌男訳〕
愛の探求はよろこびをもたらす
ライラーとマジュヌーン〔ダイアン・ウォークスタイン / 丹羽隆子訳 / 川口昌男訳〕
ただ愛のために愛させてください!
トリスタンとイゾルデ〔ダイアン・ウォークスタイン / 丹羽隆子訳 / 川口昌男訳〕
ひとりの男、ひとりの女
訳者あとがき

『七つの愛の物語』とエンボス模様編みのハート
ライラーとマジュヌーン
『ライラとマジュヌーン』のあらすじとぐるぐるうずまき
トリスタンとイゾルデ
Barbieコレクションと『トリスタンとイゾルデ』
『トリスタンとイゾルデ』とゆめかわいいストール出来上がり
騎士とは何ぞや?引き寄せか、スルーか、それが問題だ!

ビブロス(イシスとオシリス)『七つの愛の物語』より

赤地に黒でセンシティヴで流麗なライン
ビアズリーかハリー・クラークのようなイラスト
中心には黒地で金枠に金の文字



美しい装丁の施された『七つの愛の物語』は
エジプト神話の『イシスとオシリス』
シュメール(メソポタミア)神話の『イナンナとドゥムジ』
インド神話の『シヴァとサティー』
旧約聖書の「雅歌」
ギリシア神話(ラテン文学)の『プシュケーとエロース』
アラビア人(ペルシア人、セム族)の伝承『ライラーとマジュヌーン』
ロマンス(中世騎士物語)の『トリスタンとイゾルデ』
以上、タイトル通り7つの愛の物語を収録

その中で『トリスタンとイゾルデ』は他に何冊も持ってるくらいヲタだが
それでも飽き足らずに「トリスタンとイゾルデ」をググってたので
この『七つの愛の物語』を見つけた(のは2004年)

ギリシア神話もラテン文学もヲタなので
『プシュケーとエロース(アモルとプシュケ)』も
アプレイウスの『黄金の驢馬』の挿話としてよく知った話だった



その『黄金の驢馬』の最後に登場するのが
エジプト神話由来の夫婦(兄妹)神のイシスとオシリスなのだが
それまでは岩波文庫のプルタルコスの
『イシスとオシリスについて』でしか読んでおらず
この神話の内容はどうも朧気だった

では、これから神話を物語りますが、できるだけ手短に、まったく無用の余計な部分は省略することにしましょう。


プルタルコスはそう前置きしつつ
一応、あらすじを紹介してくれてはいるが
お得意の薀蓄を織り交ぜてくるので
話が横道に逸れまくるわ、1つの単語を深く掘り下げ過ぎるわ
そんなんで話の輪郭がさっぱり掴めんてヽ(゚∀。)ノ



しかもそうして全体のストーリーもはっきりわからぬワリには
違和感を感じて引っかかる箇所があって・・・

例えば
イシスの父親がヘルメスだとか。(´д`;)ギャボ

セト=テュポンとか
オシリス=ディオニュソスとか。(゚д゚lll)ギャボ

系譜の異説や異民族間でのすり替えは
神話ではよくあるコトだがねw

但し、プルタルコスの場合は
単に名前(の発音)が似てるからとかの全くのあてずっぽうでなく
由来が近似の神同士を結び付けてるので説得力はあるるる~

それと言うのもプルタルコスは古代ローマ人で
アポロンを祀るデルポイ神殿に仕える神官の職に就いてたが
古代ギリシアの哲学者のように自然哲学に対する考察力があったので
神と称される信奉の根源的存在を
一種の象徴と捉えて客観視してたからなのだ

それにしたってどうにも納得が行かぬのは
オシリスの棺が流れ着いたのがビブロスだったってコト!



ウェルギリウスの『アエネーイス』にしてもだが
フェニキア人の各都市の成立年代を
古代ローマ人は史実よりずっと古く設定してるのだ!!

恐らく古代ギリシア人のヘロドトスの『歴史』が
フェニキア人についての記述から始まってるせいで
誤解が生じてるのかと(-_-;)



エジプト創世神話の時代に既にビブロスが都市化してて
トロイ戦争の頃にはカルタゴが建国されてたなんて・・・バタリ ゙〓■●゙

いや、神話の中でなら1,000年のズレは気にならなくってよ?
でも人は100年も歳をとらずにはいられんて><
人類史が100年もズレてたら嘘になってしまうのだよ^^;

フェニキア人の史実を誤って神話に取り入れてしまったために
神話としても不確実性を露呈してしまってるのが
なんとも惜しい気がするのだ
(まあそもそも神話てのは不確かな話ではあるのだがね)



ゲルハルト・ヘルムの『フェニキア人』によれば
ビブロスの遺跡から紀元前4,500年頃の村落跡が発見されたそうで
確かに他のレバノン海岸沿いの都市と比して断然古い

しかしイシスが訪ねたような王宮となると
もちろん村落なんかではなくて
もっと都市化されてるはず=ずっと後の時代と想定できるだろう

またビブロスの呼称の由来からすると
『フェニキア人』に次のようにあるので・・・

ブブロスあるいはビュブロスは単に、強大なフェニキアの共同体の名というだけでなく、また、パピルス、すなわち紙の原料を表わすギリシア語でもあったのだ。のちに、それからビブリオン、すなわち本という表現ができ、最後にルナンが集中的に研究していた聖書(ビブル)になった。


つまりパピルスあってこその名称で
そう呼んだのが古代ギリシア人だったってコトは
古代ギリシア人がパピルスを使用し始めた時代以降の話になり
少なくとも紀元前1,200年頃までは粘土板に線文字だったのだから
それ以降に想定せねばなるまいて(゚*゚;)



対するイシスとオシリスの年代の古さだが
まず混沌からアトゥム=ラーが生じて
シュー(空気もしくは大気)とテフヌト(蒸気もしくは湿気)を産み
シューとテフヌトがゲブ(大地)とヌト(天空)を
ゲブとヌトがイシスとオシリスを産んだとされてるのだヽ(゚∀。)ノ

少なくともエジプト第1王朝より以前だとすると
紀元前3,000年頃より前・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

ビブロスとのズレは別にしても
イシスとオシリスの寿命が1,000年以上とかで
それより前の世代はもっと億単位の年数を生きてたとすると
(そもそも神に寿命をあてがうのもなんだが・・・)
ゲブとヌトが生まれたのはその名の通りに大地と天空ができた時で
シューとテフヌトが生まれたのは地球ができた45億年前で
アトゥム=ラーが生まれたのはビッグ・バンとしたら
科学史とはある意味で辻褄が合ってるような?!

古代エジプト人が地球外生物かと疑われる所以は
この創世神話のせいかΣ(゚д゚lll)ガーン