スサノオ

天の岩戸(アマノイワト)の前で
アメノウズメノミコトが
ストリップ・ショーをやったコトで
高天原(タカマガハラ)に集まった神々の
テンションは最高潮に達した

天の岩戸には
アマテラスオオミカミが引き籠ってたが
外の盛り上がりを不審に思って
覗いたのをきっかけに
結局、岩戸を出るに至った

そもそも
アマテラスがヒッキーになったのは
弟のスサノオノミコトの暴挙を
姉として庇い切れなくなったからだが
また、その暴挙が自身に対する脅しなのだと
気付いたからだとも思われ

アマテラスとスサノオとは姉弟とされてて
2柱の間にはツクヨミノミコトもいるが
なんせ神故に産まれ方が非人間的で
父のイザナギノミコトから
産まれてるのだった

イザナギの妻のイザナミノミコトは
日本の国土と八百万(ヤオヨロズ)の神を産むが
この夫婦の末っ子に当たるのがスサノオで
しかし、アマテラスやツクヨミもだが
母イザナミの死後に
父イザナギから産まれてるるる~

どういうコトかと言えば
死んだ妻のイザナミを連れ戻そうと
黄泉の国まで行ったイザナギが
途中で振り返るなとの約束を破って
うっかり振り向いてしまい
腐乱死体の姿を見られたイザナミは恥じて
黄泉の国へ引き戻されてしまい・・・

と、なんとギリシア神話の
オルフェウスとエウリュディケの話に
そっくりだったり?!

でも結末は違ってて
かつての妻のスプラッター状態を目にして
穢れを懼れたイザナギは
禊(みそぎ)をして身を清めるのだが
その禊で目を洗ってたら
アマテラスとツクヨミが産まれて
鼻を漱(すす)いだら
スサノオが産まれたのだった

アマテラスは「天照」の名の通りに太陽神で
天上界の高天原(タカマガハラ)を支配しており
弟のツクヨミも「月読」の名の通り月の神で
夜の世界を統治していたが
更なる弟のスサノオは「須佐之男」・・・

『日本書紀』では「素戔嗚」とか
知らなきゃ読めぬレベルなれど
芥川龍之介はあえてこれをタイトルに使って
二次創作的小説を書いてて・・・

スサノオがオデュッセウス化してる気がするのは
自分だけだろうかw

とにかくスサノオは海原を司ってた
もとい、司るよう
父のイザナギより言い付かってた

だのに、言い付けを怠って
スサノオはただひたすら泣き喚いてた。・゚・(ノД`)・゚・。

泣いてばかりのスサノオに
イザナギがどうしてなのかと尋ねると
「母の国(黄泉の国)へ行きたい・・・」
などとのたまったからたたた~いへん!

このスサノオの一言に
イザナギは激怒して
スサノオを追放してしまう!!

こうして行き場を失ったスサノオは
アマテラスを頼って高天原へ行ったのだが
話を進める前に考えて欲しいのは
スサノオが泣いてた理由と
イザナギが怒った理由だ

イザナミはイザナギの妻なので
家系図上は確かに
スサノオの母親に当たるが
産んでもらってもいなければ
育てられてもなくて
会ったコトさえなかったのに
スサノオがイザナミを母として
長じてから泣き暮れるほどに慕うとは
到底思えなんだ。(´д`;)ギャボ

しかもスサノオは
まがりなりにも神なのだし
母を恋いて泣いてるなんてのは
余りにも不可解だ。(゚д゚lll)ギャボ

だからイザナギが
スサノオが母を慕うコトに対して
不可思議に感じてるなら共感できるのだが
激怒して、いきなり追放とは・・・
これは現代日本人にはわかりづらい><

恐らく、穢れに対する怒りなんだろうね^^;

不吉な予兆に対して
「縁起でもナイ!」なんて怒る迷信深い人が
嫌悪感を剥き出しにしてる表情は
昭和世代なら誰でも思い当るだろうて

イザナギの激怒もそれで
腐乱死体のイザナミは不浄であり
それだから禊をしたのに
その禊から産まれたスサノオが
穢れたイザナミを求めるコトに対して
「なんと汚らわしい!!」
そういう怒りなのだ

これがギリシア神話だと
もう少し叙情的な解釈に望むトコロだが
『古事記』や『日本書紀』にあるような神話は
天皇家の正統性を裏付ける為に
後から編纂されたので
信憑性には甚だ疑問な部分もあるが
典拠とする民間伝承は
その土地の信仰の礎ともなってたので
自然現象を神の御業に見立てたと
考察するのが順当かと・・・

スサノオがイザナギの鼻(鼻息)から産まれ
それ故に風の神であるとしたのと
風(天候)によって千変万化する海に対して
海原を統治する役目にあるとしたのは
純粋な畏怖の念からだろう

スサノオが泣き喚いてる様というのは
暴風雨や台風それ自体や
これらによって引き起こされる洪水や津波など
壊滅的なダメージを齎す自然現象を
思い起こさせたに違いナイ

また死(死体)に対して
不浄なので穢れるとする認識は
自然現象の仕組みが科学の発展によって
だいぶ解明されてきた今と比べたら
相当なモノだったと予想され
その認識が甘かったスサノオに対して
イザナミが激怒してるとしたら
縁起の悪いコトをしでかした若者を
しかり飛ばす年配者と解せる

追放されたスサノオが高天原にやって来た時
攻めてきたと勘違いしたアマテラスは
武装(即ち男装)して立ち向かった

髪をミズラに結い
ユギをしょって
ユミを振り翳し
雄叫びを揚げた

このくだりに
宝塚の『ベルばら』での
マリー・アントワネットを連想したが
いや、自分だけでなく
ヅカ・ファンの方には雄叫びが脳裏に閃くはず

私は高天原の女王~なのです!

これによってアマテラス像は
オスカルとマリー・アントワネットを併せ持つ
無敵のキャラのように思えてきたが
実は神なのだ((((; ゜Д゜))) ガクガクブルブル

しかも神として悠然と構えておらずに
一国の王(女王)として
居ても立ってもいられずに挑んだのだ(゚*゚;)

ところがスサノオの方は
そんな無敵の姉の言動に一切構わず
なななんと姉と・・・

契りを結ぶ・・・バタリ ゙〓■●゙

そしてスサノオは産まれた子をもってして
「立派な子供が産まれたのだから、俺は正しい!!」
と自身の身の潔白をアマテラスに納得させて
そのまま高天原に居つくヽ(゚∀。)ノ

しかしそれ以来
スサノオの暴挙は枚挙に暇がなく
大酒をかっ喰らい
田の畦を崩し
用水路を埋めて
神殿でウンコ(゚Д゚+)ゴルァ!!

仕舞いには機織部屋に
皮を剥いだ馬を投げ入れるに至り
それまでスサノオを庇護してたアマテラスも
さすがに庇い切れなくなって
スサノオはまたしても追放の憂き目に遭う

こうしてスサノオがいなくなって
平和になった高天原で
なぜアマテラスはヒッキーになったのかが
また不可解な話なのだが
その前にスサノオが次々と悪事を行ったのも
無意味かつ不自然だった

でも実はスサノオの悪事には一貫性があり
総て農耕に対する妨害行為なのだ!

アマテラスは太陽神で農耕を奨励してたが
スサノオは木(森林)の神でもあり
農地拡大のための森林伐採や
焼畑などの例を持ち出すまでもなく
農業の発展と山野の自然破壊は表裏一体で
際どいバランスで成り立ってるのだ

ちなみに古代日本において
邪馬台国の卑弥呼は
女王として村落を統治してたが
具体的にどんな政(まつりごと)をしてたかって
シャーマン(巫女)として
農耕に好都合の天候に恵まれるよう
卜占や祈祷をやってたのだろう

アマテラスがなぜ長女で
女神であり、太陽神なのかは
この神話が農耕によって栄えた時代に
卑弥呼のような女王が実在して
モデルとなって話を盛ったのだろう

以上、『古事記』からの物話だが
『日本書紀』の異説には
スサノオが髭を抜いて放つと
その髭が杉の木になって
胸毛は檜に、尻毛は槙に、眉毛は樟になって
スサノオの子である三柱の神
イタケル、オオヤツヒメノミコト、ツマツヒメノミコトが
木種を播いた、そんな記述があって
実際、この伝承を拠り処として
スサノオを木の神として祀ってる神社もある

農耕文化の導入とその繁栄によって
村落はクニへと発展して
人々の生活も狩猟・漁撈・採集といった
ある意味、その日暮らしの不安定なモノから
計画的で安定したモノへと移行してった

そうして農耕奨励に対して
異論を唱える者がいなくなった中で
ただ一人、スサノオだけが
伐採される木々や
今まで恵みを齎してた森林の
嘆きを感じてしまったのだろうか?

そしてそれを打ち明ける相手もいなければ
歯止めをかける術もなく
暴挙に走ってしまったのだろうか???

そんな直情的過ぎる荒ぶる神スサノオの
木(森林)の神としての脅しが
現代に続いてるとしたら
自身の髭から作った杉と掌る風によって
【杉花粉症】を起こしてるとすると
妙に納得が行くのは自分だけだろうかヽ(゚∀。)ノ