モテる男『ボヴァリー夫人』のロドルフの口説き方

高校生の時の自分を思い返すと
既に愛読書が澁澤やその訳書のサドだったので
ハーレクイン・ロマンスを読んでうっとりしてるような女は
おめでたいバカだと蔑んでた・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

でも昨今の夢見がちな少女が
フローベールの『ボヴァリー夫人』を
純文学だと信じて(勘違いして)読んだとしたら
主人公エマのダンナ以外の男たちとのラブ・アフェアは
もしかして魅力的に感じられるのだろうか?

なんせ現代日本には
不倫に走る女はありふれてるのだから
エマを悲劇のヒロインだと感じる女性もいるはずだ

田舎の純朴な美少年だったレオンが
都会で出世を夢見る洗練された美青年へと
変貌するのも人として興味深いが・・・

2014年の映画でのエズラ・ミラーのレオンは
美し過ぎて目が離せなくてズルいw

これは反則だろうwww

片や金持ちの伯爵ロドルフは
ルックスも金をかけてるだけのコトはあり
いかにも美人を連れてるのが似合いそうな男だ

いや、そういう男を演じてるのだな
観察眼が鋭く、実行力がある・・・風を装ってて
まあエマくらいの世間知らずならば
簡単に騙されるだろう

それでもロドルフとエマは
傍から見れば(事情を知らなければ)
理想的な美男美女のカップルに見えるだろう

またそう見えるだろうと自認するエマにとっては
承認欲求が満たされるコトでロドルフに満足し
恋慕するのが尤もな気がしてしまうだろう

エマに限ったコトではなく
金持ちの男に次々と恋する女たちにとって
その男が好きなタイプかどうかはどうでも゚+.(・∀・)゚+.゚イイ問題で
大金を自身に使ってくれるかどうかが全てなのだ><

そして金持ちの男の方も
たいてい情熱と冷静さの割合が程良く
美女だと思ってモノにするも
ちょっと厄介に感じると逃げて回るし
その際に「金が無い」と言えば
綺麗さっぱり分かれてくれる相手なので
需要と供給が嚙み合ってるのだよヽ(゚∀。)ノ

しかしエマは金持ちの男を食い物にするようなタマでなく
夢見がちな人妻という弱々しい女のワリに
現実には夫に内緒で借金を作るような女だったから
ロドルフもそうと気付いてからは
「失敗した」と思っただろうて。(゚д゚lll)ギャボ

エマのダンナのボヴァリー医師は
名をシャルルと言うのだが
シャルルはロドルフと比べるまでもなく
非モテ男の代表格なのだが
だからこそ結婚生活には向いてるとも言えるるる~

エマに結婚前に恋愛経験があって
しかもそれによって傷ついたなんて過去があれば
シャルルとの結婚に満足できたやもしれぬ

先にロドルフのような男との恋愛があってこそ
シャルルのような男の良さはわかるモノなのかも。(´д`;)ギャボ

飛ばし読みで要所要所を再読してみたが
ロドルフの出てくる場面の
共進会で交わされるエマとの会話のシーンが
美男美女の恋人同士らしくて1番面白い!

・・・と思ったのは自分だけだろうか?

とにかくロドルフはまるで何でも知ってるような口を利いてて
エマはそのペースにすっかり乗せられてるのだが
時にロドルフの台詞は半ば演説のようで
しかも定義は曖昧で論拠はまるでなく
断言してるワリには何が言いたいのかわからぬ(゚ぺ;)ぬぬ

例えばこんなカンジだ

ああ、またか!相変わらずの義務談義、あの義務という言葉には全くうんざりだ。フランネルのチョッキか何かを着込んだもうろくおやじどもが、足あぶりと数珠を手放せない信心にこりかたまった婆あどもが、絶えず私たちの耳もとに『義務!義務!』と大声にわめく。何を言ってやがる!と言いたいところです。義務とは偉大なものを感じることです。美しいものを愛することです。社会のいっさいの因襲と、社会が我々に加える恥辱とを甘受することではありません。

ポカーン。(゚д゚;)???

こういう意味不明ながらもなんとなく反社会的な見解に対して
エマなんぞが反対意見を言ったトコロで
ロドルフの巧みな話術によって打ち消されてしまうのだが
そうして否定され続けてエマがしおれたトコロで
最後に一気に盛り上げるるる~!!

こうした世間の陰謀に憤りを感じませんか?世間の非難しない感情が一つだってありますか?最も高尚な本能も、最も純粋な同情も、迫害され、誹謗されます。二つのあわれな心がやっとのことでめぐり合ったとしても、それが一緒になりえないように、万事が仕組まれるのです。それでもその二つの心は努力を試みます。羽ばたき、互いに呼びかわします。そうです!邪魔が何ですか!おそかれ早かれ、半年先か、十年先か、二つの魂は一つになるでしょう。愛し合うでしょう。宿命がそれを要求するからです。二つの魂は互のために生れて来ているからです。

どういう展開なんだか・・・バタリ ゙〓■●゙

そしてロドルフはエンマの手を握り
いきなり全面的に肯定して
なななんと~!
恋を打ち明けるのである!!

今夜も、あすも、ほかの日も、一生涯、私はあなたのそばにいたい!

結局、言いたかったのはそれかよ。(゚д゚lll)ギャボ

この一言を言うために
内容としては無為な会話を繰り返しながら
話に段階を持つコトによって
すごく説得力があるように錯覚させてるのか(-_-;)

恋愛のプロセスとしては実に有益だが
実際には無意味なのだ

若くて美しい女は
無知で傲慢で自尊心が高いが
経験豊富な人間に対しては
好奇心から素直になるので感動しやすく
エマのように純潔を守るために修道院に預けられてて
男にちやほやされたコトがなかったりすると
ロドルフのこんな馬鹿げた言い草にでさえ
なんとなくうっかりぼうっとなってしまって
相手にペースを握られてしまうのだなΣ(゚д゚lll)ガーン

後から反芻するほどに意味不明で
混乱する中でもやもやしながら思うのは
「愛の告白を受けた・・・かしら?」

恋愛経験の無かったエマが
このセンセーショナルな出来事に酔い
恋してしまった、と錯覚に陥ってしまうのも無理はなかろう

エマほど若くも美しくもなくたって
アルコールの作用で正気を失ってる時なら
同じような勘違いをしてしまうってのはありうるのだ

しかしなるほど
『ボヴァリー夫人』は何度読んでも
飽きずに考察できるのが愉快だね(^^

ちなみに自分は薬屋のオメーのファンだ・・・ホゥ(*-∀-)